自粛、節約、増税が日本を滅ぼす (その1)

 一昨日、予告をブログに載せたら私のブログを「国賊討伐ブログ」と思い込んでいる人から「早く記事を載せて欲しい」との要望があり・・・長いので二回に分けて掲載する。

 日本が何故不況にあえいでいるか?それはデフレ不況の悪循環にはまっているからである。いろんな要因は有るにせよ、長期的には人件費の安い中国が資本主義社会に入ってきて物作りをするようになった。巨大な人口を擁する中国(をはじめとする諸外国)の人件費が日本と同じになって海外で生産するメリットが無くなるまでこの状況は続くだろう。

インフレの時、すなわち物価の上がる時は、中小零細企業あるいは自営業者も便乗値上げが出来る。しかしデフレの時は、値下げ競争になったら海外に生産拠点を持ち大量生産して直売するような大手企業チェーンに太刀打ちできない。地方のいわゆる本町通りの多くがシャッター通りと呼ばれる状況に至った原因はここにある。(自民党も市場原理万能主義的な考え方に支配されていた時期があり政策的な誤りは認めなければならない。)

地方において商業の苦境に加えて主要産業である建設産業も、増え続ける社会保障費の財源を捻出するために毎年3%削減されてきた。建設産業の不振と倒産失業は、外食産業やサービス業など地域のあらゆる業種に影響を与え「お金が回らない」状況を生んでいる。

先行き不安だから経費節減、「節約」に努める。節約すると言うことは、その分誰かの売り上げが減ると言うことだから、節約すればするほどお互いに首の絞め合いになってますます地域でお金が回らず苦しくなる。

今回、「自粛」と言う言葉がクローズアップされているので実感がわくだろう。「自粛」も結果的には「節約」と同じである。最近の会合では、総会はやるが総会後の懇親会は「自粛」と言うケースも多い。これでは宴会場の売り上げ、ひいては酒屋さん、八百屋さん、魚屋さん肉屋さんなど納入業者の売り上げが減るだけである。

したがって前から言い続けていることだが、「節約で不景気を乗り切ろうとするのは誤り」であるし、ましてや「節約では借金を返済出来ない」。ただ皆が節約せざるを得ない状況にあるのだ

ゆえに、経済を成長させ企業が儲かって税金を納められるように国が景気対策を優先して行くしか道は無いのだ。

ところが、現政権は「税金の無駄遣いをやめさせる」、「まだまだ無駄があるはずだ・・・」と重箱の隅をつついたような話ばかりしてきた。たしかに不正には腹が立つ。しかし、極論を言えばそんなことは「正義、不正義」の問題は残るけれどマクロでは景気回復に関係ない話である。

日本人が完全雇用され工場がフル操業フル稼働した場合の真の日本の生産力、これに対して実際の需要との差がデフレギャップである。やるべきことは供給サイドの構造改革ではなく、需要を喚起する景気対策である。

働きたい人が大勢いるのに仕事をさせないで遊ばせておくほど愚かな政策は無い。バラマキ4Kに象徴される「何でもタダにしてやる、お金をあげる」と言う財源があったら全て仕事として発注すべきである。それにより「デフレ不況と節約の悪循環」から一日も早く脱出しなければ国民を幸せにすることは出来ない。

そこで「財政健全化も出来れば両立させたい・・・」と言う二兎を追うようなことを言う必要は無い。景気回復無くして財政健全化はありえないからだ

 「目の前に溺れている人がいるのに、財源が無いから助けない」と言うような政府や指導者ならいない方が良い。あげくの果てに増税で財源を捻出すると言う。、馬鹿も休み休み言えと言いたくなる。心情的には国民の多くが被災地を助けるためなら・・・と考えているだろうが。

原発の影響で輸出産業に大きな陰りが出てきているところに内需拡大にブレーキをかける消費税増税などもってのほかである。

1000年に一度と言う規模の災害で国民が苦しみ不安に怯えているのだ。非常時には非常時ならではのやり方ですみやかに対応しなければならない。批判を恐れている場合ではない。悪口を言われようとも堂々とやるべきだ。

 財源は日銀による国債の直接引き受け。財政法上は禁じられているが国会の決議があれば出来るはずだ。これでただちに復興に必要な20兆でも30兆でも調達できる。

こう言うと、「円の信用低下だの極度のインフレが起こる」と抵抗する勢力がある。しかし円高とデフレで日本は苦しんでいるのだ。円安、インフレはむしろ歓迎すべきことだし現状のデフレギャップからしてハイパーインフレなど起こり得ない。アメリカの格付け会社に「日本国内で国債を消化しきれなくなる・・・」と言われる筋合いは無い。

このままでは財政規律守って国滅ぶである。(続く。)

 

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自粛、節約、増税が日本を滅ぼす (その1) への4件のフィードバック

  1. ktachiya より:

    その通りだと思います。
    マスコミが一様に増税やむなしの論調になっていることに違和感を感じます。
    今こそ国債発行で日本を立て直す絶好の機会なのに。
    続編を楽しみにしております。

    • takatori55jim より:

      ktachiyaさんは写真で見たところ合気道をやっているのですか?
      私はサラリーマン時代に港区合気会で4年ほどやったことがあります。

      ちなみに小学生のころから武道が好きで、かじっただけのものを入れると、
      柔道、剣道、空手道(剛柔流錬士五段、その他に松濤館流、和道流)、少林寺拳法、琉球古武道(サイ、ヌンチャク、トンファー、棒術)、直心影流剣術、直心影流薙刀術などをやったことがあります。
      現在は、武術太極拳連盟に所属して太極拳と空手((剛柔流)の型の稽古だけは続けています。

    • ktachiya より:

      合気道でいちど高田でお会いしています。
      また機会がありましたらよろしくお願いします。
      アバター画像をアピールしたかったわけではないのでそっちは次回から消します・・・

  2. えりの より:

    千代田区内にある私の住まいから数分の場所にある、お花見の名所には、今春、「お花見の宴会は自粛せよ」という看板が出されました。地元の飲食店や、昔ながらのスタイルの酒店、食料品店、スーパーマーケット、コンビニにとって、お花見宴会需要はボーナス、あるいはカンフル剤のようなもの。自粛せよとは、つまり「地元の産業に大打撃を与えよ」ということではないかと、大きな疑問を感じました。

    そして「増税」。新聞等の世論調査で、「あなたは、被災地のために、税金をよけいに払うつもりがありますか?」と問われれば、義捐金やボランティアが、これほど迅速に集まる日本ですもの、多くの人が「イエス」と答えます。それを「増税やむなし」の根拠にするのは、おかしいと思います。

    「金は天下の回りもの」
    今こそ、この言葉を!

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